群馬、吾妻渓谷の旅

2週間ほど前、吾妻渓谷に行ってきました。


まずは高速バス「上州ゆめぐり号」で関越道、伊香保温泉を経由して、

川原湯温泉駅に到着。

木造の味のある駅舎が出迎えてくれました。

JRの社員ではない駅員がいる、簡易委託駅です。


次の電車まで30分ほどしか時間がないのでこの時間にはあまり移動できず、

吾妻線に乗車しました。

そして、30分弱電車に乗って着いたのが、

この大前駅。1日に5往復しか電車が来ない駅です。

というのも、ほとんどの電車が一つ前の万座・鹿沢口駅止まりだからです。

田舎の山奥というほどでもない観光路線なのに、

終点には5本しか列車が来ないという

末端区間の駅。駅のすぐ横に「つまごい館」という温泉旅館があるほかは、

駅の近くには人家はほとんどありません。家は川の向こうにあります。

集落は吾妻川を渡って坂や階段を登った所で、

嬬恋村役場も国道沿いにある場所です。

無人で待合室とお手洗いしかない小さな駅ですが、

駅名標の横に道祖神があり、風情を感じさせてくれます。

こんなローカル線の風情も非常に面白いところですね。


折り返しの電車に乗らないと、次まで時間がかかってしまうので移動。

途中、八ッ場ダムにかかる橋の建設現場を通過して、

川原湯温泉駅に戻りました。

ここから徒歩で吾妻渓谷に入ります。


吾妻渓谷の入り口に、八ッ場大橋がありそこから下ったところに

白糸の滝があります。そんなに特色のある滝ではありませんが、

周りの風景とマッチしていて、良い景色を演出しています。

さらに5分弱ほど下ると、



八ッ場ダムのダムサイト予定地の看板が立てられていました。

ここから上流がダムに沈む予定の地域だというわけです。

つまり、駅舎も温泉街も白糸の滝もダムに沈むということ。

しかし、ダムサイト予定地には

コンクリートで固められた路盤(?)があるのみ…

ダム本体の工事が全く進んでいないことを考えると、

「やっぱりダム建設は中止すべき!!」と改めて思いました。


橋や道路の付け替えは着々と進んでいるようですが、

ダム本体は全く進んでいない!!

中止した方が明らかに得だと思いますけどね。


さて、ダムの話はここまでにして、まだまだ吾妻渓谷を下り、

川原湯温泉駅から2kmほど歩いた先にある、ある場所に付きました。

全長7.2mと日本一短い鉄道トンネル、樽沢トンネルです。

下記の写真では分かりにくいかもしれませんが、

1両の3分の1強という短さなので、

3。4両の車両はあっさりと貫通してしまいます。

時刻表を見て、電車が通過する時間を計算すると、

2本の電車の通過を見ることができたので、

何とか写真を撮ることができました。


なお、八ッ場ダム建設問題とからむネタとしては、

テツたちの間では「大臣はトンネルを守るためにダム中止に頑張っているのではないか」との声まであがっている。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20091005/plt0910051605005-n1.htm

とのこと。本当かどうかは分からないけど。



国道を戻って、少し山道を下ると、鹿飛橋という

吾妻渓谷の名所があります。

この鹿飛橋は、鹿が飛べるほど狭い所にかかっている橋で、

眼下には断崖絶壁の下を流れる川が流れています。

この辺はあまり紅葉していませんでした…


また元の道に戻って、国道を川原湯温泉方向に上ります。

ダムサイト予定地を経由して、ダムに沈む予定だったエリアに戻ります。

八ッ場大橋から白糸の滝方面を見た写真。ここから見た紅葉は

非常にきれいでした。

これを見て、やっぱりダムは中止すべきだと心強く思いました。

駅を通過して、しばらく行くと川原湯温泉の入り口に入ります。


このゲートを通り、山道を登ると川原湯温泉の温泉街です。

「ゆうあい」というなんとも皮肉な名前のホテルの前を通ると、

ダム完成後の新温泉街の完成予想図が通りに出ており、

やっぱり地元はダム建設賛成派なのか…と思わせます。

しばらく行ったところに、足湯があったのでそこで一休み。

近くに王湯という温泉があったので、そこでちょっと入浴してきました。



そろそろ時間なので、山を下りて駅に向かう途中に、

温泉街の入口付近にある土産物店に行きました。

その店の方に聞いたところ、川原湯温泉昔、芸者もいるほどにぎわっていたとのこと。

土産物店の中には、ダム問題関連の新聞記事のスクラップや、

ネット記事を印刷したものがいくつもあり、また、入り口には

ダム建設中止反対の署名用紙もおかれており、

ダム問題に関する狂歌も詠まれていました。


そういうものを見ると、やはり50年以上もダムに翻弄されてきた

地元の人々の胸中には、複雑なものがあるのだと感じました。

素晴らしいところなので、また機会があれば行きたいと、

店の方に話して駅に戻りました。


何度見ても、味がある木造駅舎です。こんな駅舎が残されたのは、

ダム建設予定地だからというのはなんと皮肉なことでしょうか…


そして、川原湯温泉駅を後にして吾妻線を東に移動。渋川まで乗って、吾妻線は完乗。

吾妻線 大前〜渋川間 完乗。*1

時刻表を眺めていたら、在来線特急に乗るより、熊谷まで新幹線に乗った方が速く、

少しだけ運賃も安いことが判明。

早速、高崎に到着後新幹線に乗り、熊谷まで移動。

上越新幹線 高崎〜熊谷間 乗車。


熊谷から高崎線の快速列車に乗り、都内に帰還。

以上、吾妻渓谷と八ッ場ダムをめぐる旅でした。

また今度、行きたいと思います。


そういえば、横見浩彦氏のブログ記事でも、樽沢トンネルと

川原湯温泉に言及されていました。不覚にも、後で知りました…

横見氏が訪れたのは1月。つまり、政権交代前。

横見氏としては、ダム中止で樽沢トンネルや川原湯温泉駅舎が残されるのは

どうお思いなんでしょうかね…

*1:すでに上越線 越後湯沢〜高崎間は乗車済み